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解説
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清水寺(せいすいじ)は松代から南に入った谷間の奥、六供(ろっく)地区にある真言宗の寺院である。もとは現在地の西南の十二原にあったが、数次の火災後いまの地に移ったと伝えている。現在は耐震耐火の収蔵庫内に、この像をはじめとする平安時代中期の古仏像が安置されている。 木造観音菩薩立像は、清水寺にある仏像群のひとつで、千手観音菩薩像と同じく平安時代中期の制作と考えられ、同様に県内最古の像のひとつである。 桂材の一木造りで漆箔としており、像高は159㎝である。単髻(たんけい)だが前髪だけまばら彫りとしており、耳の上に螺(ら)形の巻髪をつける点は珍しい。 また、肉取りが強く、肩の張りと盛り上がりも大きく、ことさらに右肩を上げ、胴は二段に強く締まって腰部が大きくふくらんでいる点や、腰を左にひねって左足に重心をかけ、右足を前方に出して、両つまさきを大きく開いている点も、一般の仏像には見られない特徴である。 裳(も)のひだは平安初期特有の翻波式(①ほんぱしき)衣文(えもん)であるが、頂は平らで、ひじをいちじるしく下に引っ張った形や、裳の折り返しの複雑さが際立っている。このように、やや誇張が強いことは、平安時代中期のいわゆる藤原様式に近づいていることを示すと考えられる。 地方作とみられ、当時の北信濃の彫刻を知ることができる貴重なものである。 注①翻波式(ほんぱしき)衣文(えもん)・・・・・大波と小波が交互にあらわれる衣文。
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