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解説
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清水寺(せいすいじ)は松代から南に入った谷間の奥、六供(ろっく)地区にある真言宗の寺院である。もとは現在地の西南の十二原にあったが、数次の火災後いまの地に移ったと伝えている。現在は耐震耐火の収蔵庫内に、この像をはじめとする平安時代中期の古仏像が安置されている。 木造薬師如来立像は、重要文化財指定の千手・観音・地蔵菩薩の三像と共に、古くから清水寺に伝えられてきたものである。桂材の一木造りで、平安時代中期の作である。像高104㎝と小型で、本来は七仏薬師像のうちの1体ではなかったかと推測される。 肉身は漆箔押しで、肉髻をことさら高くし、毛髪に螺髪(らほつ)をあらわさないのは珍しく、他に例がない。口唇は薄く先端がとがり、細目の彫眼は半眼に近く、顔はわずかに下を見下ろしている。密教教義から生まれた貞観(①じょうがん)仏が前方を直視しているのに比べると、静かな表情をしており、これは時代的にやや下るためかと思われる。 しかし、肩幅が広く肉が盛り上がり、翻波式の衣文などのいわゆる貞観様式の特徴も見られる。千手・観音・地蔵菩薩と同年代のものと推測される。 注①貞観(じょうがん)仏・・・・一木造り全盛の平安時代初期の彫刻で、量感、迫力がある。
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