解説
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長国寺(ちょうこくじ)は松代町東端にある真田家の菩提(ぼだい)寺で、同家代々の墓とともに、本堂裏手の塀をめぐらした一角に信之以下の霊屋(たまや)がある(もとは5棟あったが、現在は2棟)。 桁行3間(約5.45m)・梁間4間の入母屋(いりもや)造り平入(①ひらいり)で、正面に千鳥(ちどり)破風(はふ)を、向拝には軒(のき)唐(から)破風を付け、周囲に縁を回して高欄を設けている。正面中央には桟唐戸(さんからど)をつり、ほかはすべて舞良戸(②まいらど)はめごろしとする。組物は出組・詰組(つめぐみ)で、軒は二軒(ふたのき)の繁垂木(しげだるき)とし、屋根は柿葺(こけらぶき)である。 内部は畳敷き、格天井(ごうてんじょう)で、中央に格子戸を入れて内・外陣を仕切り、奥に禅宗様(よう)仏壇を据え、位牌を安置している。 向拝虹梁の持ち送りと木鼻には丸彫りの獅子と霊獣を、虹梁上や手挟(③たばさみ)に籠彫(かごぼ)りの彫刻を施し、母屋の頭貫(かしらぬき)と飛貫(ひぬき)の間には透かし彫りの唐草、入母屋の千鳥破風・唐破風にも丸彫りの栗鼠(りす)・牡丹(ぼたん)・鶴に松など、また、内部の欄間にも鳳凰(ほうおう)の彫刻を入れている。さらに、柱・組物などすべて極彩色が施されており、装飾に富んだ豪華なものである。 現在は歴代藩主の位牌を安置している。 表門は柿葺きの四脚門(しきゃくもん)で、霊屋ともに、信之の死後2年後の万治3年(1660)の建立(こんりゅう)である。 注①平入り(ひらいり)・・・屋根の三角形の見える側(妻)に出入り口がある建築形式を妻入りというのに対し、これと直角な側(屋根面が見える方)に入り口がある形式 注②舞良戸(まいらど)・・・横に細かく木を入れた引き戸 注③手挟(たばさみ)・・・・向拝柱の上部斗と屋根裏の斜面との間を埋めるための、ほぼ三角形の建築彫刻
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