解説
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昭和四十四年の県町(あがたまち)遺跡(県町576番地)調査で、奈良時代のものと考えられる掘っ立て柱の建物跡の柱穴の一部から、破片で発見された。
復元後の大きさは口径20㎝、台径29㎝、器高12㎝。円面硯(けん)で、二十五個の蹄脚(ていきゃく)が硯面を支えている。 このような硯(すずり)は、時代的には奈良時代初期に限られており、宮殿・官衙(かんが)(古代の役所)跡から出土する場合が多く、県町遺跡の性格究明に大きな役割を果たしている。 同形式の円面硯が飯田市の恒川(ごんが)遺跡から発見されており、この地は伊那郡衙(ぐんが)跡と考えられているので、この蹄脚硯はあるいは水内郡衙の用品かと推察される。
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