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解説
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大門(おおもん)踊りは大御門踊り・大尾踊りともいい、松代地方に古くから伝承されていた民俗舞踊と、伊勢踊り・謡曲などが結合した盆踊りの一種である。また豊年踊り・雨乞い踊りの要素も大きい この踊りは「肴(さかな)町御先踊り」と「七ヶ町踊り」の二部からなり、男子は謡・地唄・笛が二人ずつ、小鼓(こつづみ)・大鼓(おおつづみ)・太鼓(たいこ)・くどき・天狗(てんぐ)がそれぞれ一人と女子の踊り子十数人で構成されている。 その踊舞には次のような特徴がある。 ① 踊りの動きの中に伊勢踊りの形態が残っている ② 「くどき」が踊り子の群れの中に入っている ③ 踊りの歌詞 <松原越えた、松坂越えた> に「かけ踊り」(伊勢踊り)の特色が見られる ④ 伊勢信仰を背景にする神送りの踊りである ⑤ 踊りの最後の歌詞 <千秋楽には民をなで> は、謡曲「高砂」の一句で締めくくっている ⑥ 踊り子の動作に舞の要素が入っている ⑦ 歌詞の <黄金の枡で米をばはかろ> の箇所には収穫祝い唄風な所がある ⑧ 踊りの先頭に天狗が出るのは関西地方の雨乞い祈願にみられるものである。
なお三村晴山筆の「松代祗園祭礼図」には、松代城大門前での舞踊の姿がこまやかに描かれている。
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