解説
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善光寺本堂前にあり山門とも称される、南向きに建てられた5間に3間の二重門である。 下層は正面3間を壁や扉のない吹放ちとし、両わきは花頭窓(①かとうまど)付き板壁とする。礎石上に円柱を立て、飛貫(②ひぬき)を通し、頭貫(かしらぬき)とのあいだに連子(れんじ)(縦または横に細かく並んだ木)を入れている。 組物(③)は三手先(みてさき)詰組(つめぐみ)で二層は正面3間に双折(もろおり)桟唐戸(さんからど)(扉の一種)をつり、両わきは連子窓とする。また二層には平三ッ斗(ひらみつど)腰組付き縁を回し、擬宝珠(ぎぼうし)高欄をおく。 屋根は上下ともに栩葺(とちぶき)で、垂木(④たるき)は一軒(ひとのき)の繁垂木(しげだるき)とし、軒を隅反(すみぞ)りとしている。 桁行19.6m、梁間7.2m、高さ20mあり、山門としては例が少ない大建築だが、善光寺本堂も非常に大きく、それにふさわしい門である。 江戸時代山門の代表的なもので、延享元年(1744)末に工事を始め、およそ6年を経て寛延3年(1750)に完成した。 平成14年10月半解体修理着手~平成20年3月竣工。大正時代の葺替で檜皮葺きとなった屋根を建立当時の栩葺(とちぶき)に復原した。 注①花頭窓(かとうまど)・・源氏窓ともいい、上部が円弧とS型曲線の集合によりアーチ形をなす。 注②飛貫(ひぬき)・・・柱に穴をあけて通した横材。その位置により、いちばん上のものを頭貫、頂部より少し下のものを飛貫、そのほか腰貫、地貫などがある。 注③組物・・斗 《ときょう》の別名。斗(と)とは社寺建築用語で、軒・天井・縁などを受け支えている木組をいう。様式や組み方は簡単なものから複雑なものまでさまざまである。 注④垂木(たるき)・・・軒裏に並んで軒を受ける材。垂木が1段、2段、3段のものをそれぞれ一軒(ひとのき)、二軒(ふたのき)、三軒(みのき)という。繁垂木は垂木の間隔が狭く密なもの。
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