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解説
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善光寺平南部の千曲川左岸に位置する長野市篠ノ井塩崎地籍に含まれる長谷・越のうち、長谷の平、越の越及び東谷の3集落では、1月15日にワラ人形又は紙の人形を作ってこれを燃やすドンドヤキが行われている。近年は1月15日直前の土・日曜日に行われている。 ①長谷の平 平はこの地区で最も標高の高い斜面にあり、16戸で長谷第三常会を形成している。ここでは常会長宅で「オンマラサマ」と呼ぶワラ人形を作り、それを後庵と呼ぶ場所に運びムラを見下ろす方向に立て、その周りに正月飾りや達磨を積み上げる。 夕方子供が拍子木を叩いて「ドンドヤキノ ヒ-タクゾ-」と唱えて回り、常会長が提灯の火を移して点火して勢いよく燃やす。ここには道祖神の碑はない。 ②越の越 越の第一・第二常会は約80戸近くあり、第1公民館の庭の南西隅に「オスガタ」と呼ぶ大きな藁人形を作る。夕方、約200m程離れた道沿いの道祖神の文字碑に、榊を供えて詣で、氏子総代が道祖神碑に供えたロウソクから提灯に採火して運び、子供代表立ち会いで、常会長が点火してオスガタを焼く。
③越の東谷 東谷は、約60戸で、越第三・第四常会を形成する。ここでは「カンタサン」と呼ぶ婿と嫁の紙人形二体を作る。元太子堂のあった近くの辻に立つ道祖神の碑を中心に正月の注連飾りや達磨を積み重ね、中心にカンタサンを立てる。 夕方宿の祭壇の灯火を提灯に移して運び、常会長が点火して、道祖神ごと焼く。 小正月の火祭りは、正月飾りの処理として、年神送りの性格が強いほかに、人の生活に災いをもたらす厄神を送り出す性格も見られる。また、防塞や性神的な意義付けの濃い道祖神祭りとしての性格を持つものと理解されているところも多い。 この塩崎の長谷・越地区においては、小地域の中においてワラ人形や大きな紙人形を作るなど、単なる火祭りのみではなく、多様な形式をもって実施されている。また防塞のための威嚇や、子宝授受の願望の意味も込めながら、燃やすことにより厄を追い出す意味が強調されており、こうした民俗行事の在り方をよく示している。 (長野県指定文化財候補物件調査票より:調査者 市川氏・田口氏)
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