解説
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この武井神社の御柱祭行列絵図は、万延元年(1860)雅孝によって描かれた縦119㎝、横350㎝、縁5㎝、板絵著色、横長の大額絵馬で、拝殿の東壁最上部に掲げてある。弘化4年(1847)の善光寺大地震で武井神社は焼失したが、その13年後の遷宮祭の御柱行列の様子を細やかに、そして色鮮やかに描写したものである。 地元東町を先頭に、後町、田町、権堂村、両宇木村、問御所村、大門町、横町、伊勢町、岩石町、東之門町、七瀬村の順にそれぞれの出し物と服装でこの行列に参加している。 画面中央の大きな出し物を曳く権堂村の女性の一団は、色艶やかである。19人程が片袖を脱ぎ、野袴をはき、首に手拭いを巻いた勇ましい姿で、先頭は鉄棒を持ち、手古舞姿で参加している。善光寺木遣りの姿を表現しているごく古い資料である。 この御柱行列図は、大地震から立ち直り遷宮が出来た御柱祭の喜びの様子と、東町を先頭に領主を越えて近隣の村々に合わせて12の町村参加による行列の様子を丹念に描き分けている。彩色も極めて鮮明に残っていて、近世末期の御柱の行列実態を知る上で歴史上意義ある、貴重な大絵馬である。
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