解説
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駒沢新町遺跡は上駒沢に位置する奈良時代から平安時代にかけての集落遺跡です。浅川と駒沢川の合流地点にあたり、浅川扇状地の端部に位置します。駒沢川と南の新田川に挟まれた範囲は微高地となっており、遺跡もこの微高地上にあります。 昭和41年(1966)隣接する駒沢祭祀遺跡で発掘調査が行われ、古墳時代に祭祀行為が行われていたと考えられる遺構が多数確認されました。昭和43年(1968)・平成4年(1992)・平成20年(2008)に行われた発掘調査では駒沢祭祀遺跡に関連する遺構の確認が予想されましたが、調査では奈良時代から平安時代にかけての集落跡が確認されました。 住居跡は15軒確認され、土師器・須恵器・灰釉陶器などの遺物が出土しました。見つかった遺物の中で注目されるものは、懸仏の鋳型です。元の大きさは12cmほどの円形であったと推測されます。像は阿弥陀三尊で、主尊の右側三分の一から右脇侍および左脇侍の左腕を欠いています。その製作技法から平安時代後期のものと考えられます。出土した遺構には焼土の塊があり、小人頭大の石が4個配されていました。その周りには灰や炭が多くあり、工房跡であった可能性があります。
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