刑部局

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明治三五年(一九〇二)六月一〇日、長柄山局は、旧水上村刑部七四二番地、村上光之助氏長屋に十坪の事務所を設け、ここに移された。初代局長に村上氏を任命、刑部郵便局と名づけた。当時の職員は、局長のほか、事務員二、郵便集配人三名内逓送人一名で、配達区域は、旧水上、日吉村全域と長柄村の一部であった。
 郵便物は、深沢の切通しまで運び、長南局から送られてきたものと交換した。職員の勤務は、平日は、朝八時から夕方の八時まで、日曜も正午までと定められ、自転車など勿論ない時代なので、集配はすべて徒歩で、その苦労は大変なものだった。明治三六年前後の「刑部局勢一覧」をみると普通郵便配達数が、
 
表1 通常郵便(局勢一覧表より)
年度普  通書  留価格表記
引受数配達数引受数配達数引受数配達数
明治3524,91146,95031937110614
  3622,14244,53732427513930
  3725,16358,18832434117852

 
となっているので、毎日一人平均四〇通前後を配達することになる。片道一〇粁以上も歩かねばならぬ部落もあるから、一日に歩く距離は、三〇粁をこすであろう。
 つぎに職員の手当をみると、局長が月額二円、局員が一人二円三四銭となっている。当時米価は石一〇円をくだらなかったので、仕事に比して極めて低い。言わば、郵便事業の発達は、地方の篤志家や、それに携わった人達の奉仕的な働きによって、築き上げられたものであろう。さらに、「局勢一覧」から、郵便取扱高と経理状況の一部を示しておく。(前頁表1―表3)
 
表2 小包郵便(局勢一覧表より)
年度小包郵便年度配達区内
引受数配達数戸 数人 口
明治35118508明治351,1436,848
  36148539  361,1567,005
  37202610  381,1516,496

 
 
表3 経理会計状況(局勢一覧表より)
明36年明37年
切手類売下代定価330,795351,527
割引147,020196,035
収入印紙代定価26,84017,270
割引6,7504,550






局長手当24,00024,000
局員給料140,400140,400
雑  費46,80046,800


郵 便 費284,400284,400
小包郵便費
電 信 費


郵 便 費155,616120,000
小包郵便費
其  他9,54115,927
総  計660,757631,527
備   考局長1 局員5局長1 局員5

 
 
業務実態 水上局
業  務開始年月国の開始年
1.郵便明治25年6月10日明治4年3月
2.為替貯金〃   6月10日〃 8年1月
3.小包郵便〃   6月10日〃 25年6月
4.簡易保険大正15年10月1日大正5年10月
5.郵便年金大正15年10月1日大正15年10月
6.電信昭和12年11月15日明治11年3月
7.電話   〃〃 23年12月
8.電話自動化昭和50年1月28日交換事務中止