にかほ市にある象潟はかつて百前後の島を浮かべた入り江で、平安時代から和歌に詠まれてきた景勝地でした。能因や西行が訪れ歌に詠んだ名所として広く知られ、江戸時代の松尾芭蕉の「おくのほそ道」は、歌枕を訪ねる旅であり、象潟は目的地の一つでした。松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅で訪れ、名文と名句で紹介したことにより、象潟はさらに有名になり、多くの文人たちが象潟を訪れるようになりました。潟時代に小林一茶や与謝野蕪村が訪れているほか1804年の地震で陸になった後も正岡子規や竹久夢二なども象潟を訪れており、象潟には今も文人たちの思いやエピソードが息づいています。
にかほ市象潟(きさかた)は、古くから和歌や俳句に詠まれてきた名所であり、時代を超えて数多くの文人たちが訪れています。
その一例として、一度は名前を耳にしたことがあるような著名な人物たちをご紹介します。
■象潟を訪れた文人たち(潟時代)
1689年 松尾芭蕉
1773年 平賀源内
1784年 菅江真澄
1789年 小林一茶
1802年 伊能忠敬
■象潟を訪れた文人たち(隆起後)
1893年 正岡子規
1903年 田山花袋
1922年 竹久夢二
1947年 斎藤茂吉
1973年 棟方志功
1986年 司馬遼太郎
芭蕉は象潟で次の3句を詠んでいることが象潟自詠懐紙(蚶満寺所蔵)からわかります。
・きさかたの雨や西施かねぶの花
・ゆふ晴や桜に涼む波の華
・腰長や鶴脛ぬれて海涼し
芭蕉はのちに、この3句のうち2句を次のように推敲して『おくのほそ道』に載せています。
・象潟や雨に西施がねぶの花
・汐越や鶴はぎぬれて海涼し