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資料解説
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谷崎潤一郎「細雪」に登場するパインクレストは大正末期、殿山町に建てられたホテル形式のマンションです。一部鉄筋、一部木造の3階建てで、貸室60のほかにロビー、大食堂、談話室などを備え、トイレは水洗、全館にスチーム暖房の設備があり、マンションというよりホテルの雰囲気でした。大正末から終戦まで西洋人とハイカラ好みのこの土地の人たちの社交場として大いににぎわい、多くの文化人が利用していました。昭和初期には画家 東郷青児氏が約1年半滞在し、油彩6点を残してここを去ったというエピソードも残されています。他にも小説家 武林文子氏や吉屋信子氏らが滞在しました。ホテルは戦後、米軍に接収され女性将校の宿舎になり、昭和38年からは神戸銀行(現・三井住友銀行)の独身寮や研修所に使われました。現在は住宅地になっています。
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