資料解説
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酛(もと)が出来上がるとこれに麹・宮水・掛米を加えて醪(もろみ)をつくる。その最初の日を初添え(はつぞえ)・添始め(そえはじめ)という。大体十日えびすごろに行われた。醪は掛け米、麹、酛(もと)、宮水を一定の割合に混ぜ合わせ、アルコール発酵を促し清酒を作る最終の工程となる。総米量の一割にも満たない少量の酛(もと)を仕込むため、一時に仕込んでは酵母菌が弱ってしまうため3回、4日間に分けて行われる。これを三段仕込といい、それぞれ添・仲・留という。◆仕込んだ「添」は蔵人が「風呂上り」や「伊勢道中」をうたいながら三尺櫂で突き混ぜる。「風呂上り」はテンポの緩い、のどかな調子の謡だが、仕込んだ蒸米や麹が十分に水を吸っておらずまだ固いため、ゆっくりとした節回しになる。
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