解題・説明
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宮(熱田神宮)より海上28kmの桑名は揖斐川(いびがわ)の河口近く舟渡しであることから「七里の渡し」ともいわれる。伊勢湾の要港として早くから発展したが、桑名城の築城後はさらに城下町としての繁栄も加わり街道有数の宿場として栄えた。桑名の名物は蛤と白漁は昔からあまりにも有名である。絵馬では、鳥居を画面中央に配置した大胆な構図がとられており、いかにも浮世絵風に扱われている。奉納時期が古いだけに画面の破損が惜しまれる。城と遠景は広重の構図を模写したものである。広重日記に「名物やき蛤に一酌をたのしみ漸く桑名につく 早速一茶屋に腰をおろして一盃傾けながら賞味す まことに珍味なり 旅舎の食膳も蛤を見る」と記している。
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