解題・説明
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仁田四郎が猪にまたがり退治するありさま描いた図である。画面中央に雪をいただいた富士山と源頼朝を描きながらも、主題となっているのは仁田四郎忠常の猪狩である。仁田は、治承4年(1180)源頼朝の挙兵以来の家人として信任が厚く、文治元年(1185)頼朝に従って平氏追討のため西海を転戦した。文治5年(1189)の奥州征伐、翌建久元年(1190)の上洛に際しても頼朝の随臣として従った。建久4年の富士の巻狩における曾我兄弟の私闘鎮圧に功を立てた。二代将軍頼家の信任も厚く、『吾妻鏡』によると、建仁3年(1203)6月、駿河の狩場で富士山麓の人穴を探検したとある。
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