解題・説明
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囲碁は奈良時代に、すでに中国から伝来していたもので、正倉院御物にも碁器があり朝廷の人々が碁を打っている。平安時代になるとかなり流行し、「源氏物語」には、対局が描写されている。その後、中世には武士の間に広がり、近世になるとますます盛んになってきた。織田信長は、京都寂光寺の塔頭本因坊の住僧日海に師事し、日海を呼ぶに名人と称した。図中に「玄宗前吉備公妙手玄東圍於棋」とあることから、玄宗皇帝と楊貴妃が見物するなかで、囲碁の名手による対局戦が行われている様子を図にしたものと思われる。吉備とは、716年から留学生として20年ほど在唐していた吉備真備か。
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