解題・説明
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琵琶湖南部の景勝地のうち、瀬田唐橋(せたのからはし)から湖の夕映えを描いた図である。近江八景は、明応9年(1500)に関白近衛政家と尚道(ひさみち)の父子が、中国にある洞庭湖の「瀟湘八景」(しょうしょうはっけい)を模して選んだといわれている。三井晩鐘(三井寺=園城寺の鐘楼の音色)、石山秋月(石山寺の中秋の名月)、堅田落雁(浮御堂、雁の訪れ)、粟津晴嵐(松並木)、矢橋帰帆、比良暮雪(比良連峰の雪景)、唐崎夜雨(老松)、瀬田唐橋(瀬田の唐橋からの湖の夕映え)の八景がそれである。江戸時代に歌川広重の浮世絵「近江八景」(『名所図会』)や山登万和(やまとまんわ)の筝曲によって広く知られた。しかし今日では、江戸時代の八景の様子はほとんど留めていない。そこで滋賀県では、新たに八景を選定している。
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