太湖

太湖「太湖」は、大正15年 (1928) から昭和15年 (1940) にかけて、八幡町で発行された月刊新聞です。『滋賀県八幡町史』編纂のための資料収集も兼ねており、紙上には郷土の歴史・人物から、時事問題、文芸まで幅広い記事が取り上げられました。
 記事中には、現在では使用しない言葉や不適切な表現が含まれますが、大正年代~昭和初期に発行された貴重な歴史的資料として掲載させていただきますことをご了承ください。

「太湖」と西川貞二郎・近松文三郎について

 西川貞二郎は、八幡商人のひとつで蝦夷地(えぞち、現在の北海道)において場所請負(アイヌとの交易権を有する藩主や家臣から運上金と呼ばれる租税の上納を条件に、商人がその経営を請け負うこと)を行った西川伝右衛門家の十代当主であり、初代八幡町長を務めました。

「太湖」発刊のきっかけは、西川貞二郎追悼のために集まった有志の会合で、各自が少額の資金提供を行うことにより刊行が実現しました。そのうちの一人が、同紙の主宰である近松文三郎でした。

 近松文三郎は、大津元会所の米穀商・近江屋九右衛門家に生まれました。大阪商業高校(現在の大阪市立大学)、東京高等商業高校(現在の一橋大学)を卒業後、多くの会社からの招聘もありながら、郷里八幡で恩義のあった西川貞二郎に仕え、その仕事を手伝います。結婚後、商家に囲まれた環境に影響され、業務の合間、八幡商人に関する研究に没頭していきます。その成果は、主宰する「太湖」紙上に発表され、同紙に記されている八幡町開町以来の歴史や、全国で活躍した八幡商人の家歴は『滋賀県八幡町史』の編纂に大きく寄与しました。

 昭和15年 (1940) 、第二次世界大戦の戦時下による経済統制から「太湖」は廃刊となりますが、現在もなお、八幡や八幡商人を知ることができる参考資料の一つとなっています。


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