和助は中井萬助の第五子で、幼名は清吉、後嘉兵衞と改めた。辻本安兵衞の女小芳の婿となり、嘉永五年名跡を繼ぎ、名を和助と改め、老いて和朔と稱した。【麻苧商】麻苧商を營み、正實儉勤、慈惠を好んで窮民に施與し、力を教育に竭した。一族中幼年家を嗣ぎ、經營に艱むものあれば、心を傾けて之を扶け、各家業を興こさしめた。【餘技】餘技として書を能くし、花卉を愛し、山水を好み、書畫を愛玩し、圍碁を以て自ら娯んだ。殊に俳諧を嗜んで、麻廼本此屋と號した。明治二十四年五月二十日享年七十歳を以て歿し、【墓所】大安寺の兆域に葬り、法號を瑞愛瑳珠有功翁といふ。男和七其家を嗣いだ。(墓誌)