解題・説明
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この絵は絹本で縦83センチ、横114センチの阪出墾田の図で、坂出の黎明期を描いた貴重な資料であり、坂出の歴史を語る上で重要な価値を有するものである。 久米通賢により文政12年(1829)に完成した坂出墾田を、笠山中腹から見下ろした体裁で描き、御供所より江尻新開にわたる地区、および塩飽諸島から乃生岬方面まで南風画で描かれている。中央手前には天満宮の赤い鳥居と建立された「阪出墾田之碑」も見え、当時の坂出の往還や町並みも描かれていて、墾田以前の坂出村の状景を偲ぶことも出来る。 絵の上段には阪出墾田の碑文が書かれており、画は市原陶々、書は米谷撲斎で、ともに高松の人で、高松藩に蔵する原本を、天保年間に写したものである。 この図は野口家に伝来していたもので、家伝によると久米通賢を援助して、坂出墾田に功績のあった野口五郎八が高松藩主松平頼恕公より下賜されたと伝えられるもので、昭和54年(1979)4月1日に坂出市へ寄贈された品である。
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