解題・説明
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四国遍路は、八十八の弘法大師ゆかりの霊場を、納札して巡拝することである。四国遍路は、大師の入定後から始まり、室町時代の遍路による国分寺本堂の墨書銘が残っているなど、古くから行われていたが、江戸時代初期、真然、寂本の二人の僧によってほぼ確立されたという。 札所と札所を結び、遍路が歩く道を遍路道と呼んでいるが、霊場から霊場へと大師の後を慕って修行して歩けば、解脱・成仏出来るとして、この遍路道に道場としての性格を持たせている。元々、三尺道と呼ばれる道幅の狭い道路が普通だったが、開発や交通形態の変化によって、往時の姿を残しているところは少なくなった。その中で、五色台の山中を通る81番札所白峯寺と82番札所根香寺を結ぶ遍路道の大半は、昔の姿をよく留めている。この遍路道道沿いに、一丁(約109m)毎に設置されていたであろう丁石(舟形の石に地蔵を刻んである)や道標が残っている。19丁目の道標に「打ちもどり」とあり、80番札所国分寺へはここから、という表示である。 丁石には寺院からの距離が、○○丁と刻まれ、遍路の道程の目安となるもので、疲れを癒やす道案内でもあり、平地にはほとんどない。平地には是より右△△寺○丁などの道標が建つ。これ等に導かれて、1,440kmを40日程度かけて、同行二人の修行をしたのが「お遍路さん」で、住民の「お接待」もなされており、今も地域や時期によって行われている。
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