日本列島は新第三紀に入って、つまり、二三〇〇万年前ころから、激しい地殻の変動に見舞われる。その地殻変動は、地下深部の岩石圏の破壊による大規模な水平移動でできた割れ目、学術用語でいえば、断裂(だんれつ)や大断層を形成する地殻の隆起、陥没という垂直的変動を主体とし、膨大な火山岩や火山砕屑物(*1)を噴出させた大規模な火山活動をともなうものであった。この地殻変動の結果、弧状の日本列島が誕生し、内帯(日本海側)と外帯(太平洋側)という新しい地質構造区が生みだされた。この時期に噴出した火砕岩(*2)(火山砕屑岩)の多くが緑色凝灰岩(グリーンタフ)(*3)であることから、この地殻変動をグリーンタフ変動、そして、その変動の舞台となった内帯をグリーンタフ地域と呼んでいる。札幌を含めた西部
北海道は、図1に示すように、東北日本弧内帯に属するグリーンタフ地域である。つまり、札幌の山々はこのグリーンタフ変動によって誕生し発展してきたものなのである。
図-1 日本列島の新第三紀の地質構造
*1 火山砕屑物(かざんさいせつぶつ) 火山活動により地表に放出された破片状の固体物質の総称。
*2 火砕岩(かさいがん) 火山砕屑物が固結して生じた岩石。火山砕屑岩ともいう。
*3 緑色凝灰岩(りょくしょくぎょうかいがん、グリーンタフ) 凝灰岩(火山灰を主とした火山砕屑物が固結したもの)が変質して緑色になったものの岩石名。しかし、緑色凝灰岩層・グリーンタフ層などの同義語として、緑色凝灰岩を主とし、砂岩・泥岩・礫岩などをはさんだり、火山岩類なども含めた地層の総称として使用される場合もある。