北海道の縄文中期の時期で、埋葬人骨が検出され、確実に墓(墓壙あるいは土壙墓)と確認できる例は、その規模については長径五八~一一〇センチ、短径五四~一〇五センチで、平面形は不整円形および不整楕円形である。構造的には、比較的単純な掘り込みだけの例、積石のあるもの、断面が袋状のもの、溝がめぐるもの、壙底面に配石があるものなどさまざまである。
ところで、以上の明らかに土壙墓とわかる例以外に、縄文中期の遺跡からは、性格が明確にできない各種の土壙(ピット)がみつかっている。それらのいくつかは、大きさや構造から墓壙の可能性もあるが、それ以外に貯蔵穴とか石器の工房跡、剝片・チップ等の廃棄壙などの可能性も考えられる。