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土器群の分類

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 北海道の縄文中期の土器群(図11)は、地域および時期によって大きく三ないし四群に分けられる。

図-11 縄文中期の土器
(1~3・6・10:N309遺跡,4・5・7・11:N295遺跡,8:T310遺跡,9:T77遺跡,12:M67遺跡)

 一つは、東北地方北部から道南に分布の中心がある筒形で貼付文が巡る円筒上層式(円筒土器上層式)の土器群(サイベ沢Ⅴ~Ⅶ類等、図11-1~3、10)とそれに後続し縄文中期後半期に道央部に分布する半截竹管(はんさいちっかん)による貼付文とか沈線文を特徴とする土器群(天神山式、図11-4、5)、さらに道南から道央にかけて中期末に分布する沈線文が加わった土器(手稲砂山式、図11-11)である。もう一つは、道東部を中心に中期中葉以降に分布し、口縁部に肥厚帯と円形刺突文があることを特徴とする北筒式土器(トコロ第六類等、図11-7~9)の仲間。また、道北部に分布する神居式、多寄式、シュブノツナイ式などとよばれる円筒形平底の押型文土器のグループも、その系統関係はあきらかではないが、この時期の前半の土器群である可能性がたかい。
 なお、道央部から道南部に分布する口縁部から胴部にかけて「たが」状に太い貼付文が巡る余市式土器(図11-12)は、従来の見解では縄文中期後半期に、まず道央部を中心に口縁部に円形刺突文が巡る伊達山式土器が分布し、その後円形刺突文を欠いた入江第Ⅲ類に代表される土器などが道南から道央に分布するといわれてきた。しかし、最近これらの土器群はいずれも縄文後期初頭に位置するもので、その編年的流れはまず道南を中心に刺突文のないグループがあり、後に道央部に分布を広げた時点で円形刺突文のある仲間が生まれたというまったく異なった見解も出されている。