ビューア該当ページ

後期土器の特徴

223 ~ 224 / 1039ページ
 中期から後期へ移り変わる段階を、どのような土器が出現した時からとするか、大変むずかしい問題である。ここでは一応旧来の説にもとづき説明することとする。
 中期の土器が粘土帯の貼付と大形の把手などが多くみられ、雄大で派手な文様と形を持つ土器とすれば、後期の土器は、棒の先で描いた線(沈線)による曲線文と、沈線に囲まれる雲形文、入組文などの縄文の部分を残し、他の部分をていねいに磨り消し文様効果を一層高める、磨消縄文と呼ぶ手法による精緻な文様へと変化をする。
 土器の形も、単純な筒形、筒形に大形の把手をつけたものから、土器の頸の部分が大きくくびれ、朝顔の花のように口が大きく開く深鉢形や、皿形、壼形、水あるいは儀式に用いる酒の存在をも思わせる土瓶のような把手と注ぎ口のついた土器などが現れる。土器の形のうえからも、後期の文化の多様性をうかがうことができる。
 後期の土器の大きな変遷を見ると、次のように分けることができる。
 前葉の土器は、初めでは中期的な要素が色濃く残され、器形も頸部がわずかにくびれる深鉢形が主体であり、貼付帯とやや太い沈線文を多く用いている。その後、頸部のくびれがより大きくなり、朝顔形の深鉢形となり、沈線文に加えて磨消縄文の手法も多く出現する。しかし、この段階の市内および北海道では、壼、浅鉢形などの器形の出現度がそれ程顕著ではなく、沈線文、磨消縄文の手法もやや粗雑なものが多い。
 中葉に至ると、器形の分化が一段と進み、多くの器形が出現し、磨消縄文の手法が一段と発達を遂げる。
 後葉では、中葉に見られる器形をすべて受け継ぐとともに、文様はより精緻となり、加えて北海道独特の爪の先のような形をした工具を用いた爪形文、棒あるいは管状の道具の先端を使用し、土器の内側から突く刺突文(突瘤文)も出現する。