市内では、T四六六遺跡から竪穴住居跡が一軒発見されているのみであり、集落を明らかにできる遺跡は、一例も発見されていない。T四六六遺跡の竪穴住居跡は、平面形が楕円形で長軸二・八一メートル、短軸二・二三メートル、深さ約四〇センチメートルと小形である(図20)。中央部に炉の焼土が存在し、南の壁際に大小の穴が一個見られるのみで、他の施設はまったく発見されていない。この竪穴住居跡は、墓域のなかに一軒のみ建てられ、遺物もほとんど出土しないことから、日常の居住の用に供したものではなく、埋葬に伴う「もがり」などの儀礼に使用されたと考えることもできる。
図-20 縄文晩期の竪穴住居跡(T466遺跡)