七年官園内の仮牧場へ牛と共に米国種羊サウスダン牝七頭・牡一頭が七重官園から送られてきた。これが札幌での牧羊の最初である。翌八年にはさらに東京、七重両官園からサウスダン、コツオルドの二種計六〇頭が移送された。九年七月仮牧場の土地が卑湿のため改めて渡島通の西端(現南一条西一四丁目から西南一帯、のちに旧師範学校の敷地となる所)約八万八〇〇〇坪を画定して牧羊場を設置した。ここに官園の牧羊を全て移し、護羊犬や洋種スパニシメリノも入れた。本場での飼育成績は良好であり、内国勧業博覧会でも入賞している。十四年末の緬羊数は、サウスダン種六四頭・コツオルド種一九三頭・スパニシメリノ種七二頭であった。ただ緬羊の飼育は試験期であり民間にもほとんど普及せず、製品の利用もまだ先のことであった。