以上、各寺院・説教所の設立経過を略述したが、開拓使設置以降、移民の増加にともなって、各宗派はこれに対して設立費、維持等に関して補助を行い、また新開地僧職の得度等についても特例を設ける、いわゆる「布教」を行った。この「布教」は、明治二十年代、内陸開拓が本格化するに従って整備され、明文化した規程を設けた宗派もあった。こうしたこともあって、説教所等は割合早期に設立されていった。
またこの時期の札幌地方は道内開拓地としては先進地であっても、一村で一宗派の寺院・説教所を維持するのは不可能で、いくつかの村の家々が組合って檀家となった場合が多い。以下これらを中心に、草創期の寺院等のもつ諸問題について若干ふれてみたい。