クラークが伝えたキリスト教信仰を生徒たちは真剣に受け止め、信徒となることを決意した。クラークはその任期が果てるに当たって、彼等を一つの信徒集団として編成し、今後も信仰を離れず永続的に教会に結び付くように彼らの決断を促すことにした。そのため、十年三月五日、「イエスを信ずる者の契約」(Covenant of Believers in Jesus)を起草し、一期生一六人は全員これに署名した。
イエスを信ずる者の誓約(契約)
ここに署名する札幌農学校の職員生徒は、キリストを、その命(めい)にしたがって告白すること、及び十字架の死によって我らの罪のために贖(あがない)をなし給うた貴き救い主に対して、我らの愛と感謝とをあらわすために真の信実を以てキリスト者としての凡ての義務を果たすことを願い、又、主の栄光のため、及び主が代って死に給うた人々の救いのために主の聖国(みくに)を人々の間に前進させることを熱望して、ここに今より後、イエスの忠信なる弟子なるべきこと、及び主の教の文字と精神とに厳格に一致して生きるべきことを、神に対し、又相互に対して、厳粛に契約する。又適当な機会ある場合には、我らは試験、洗礼、入会のために福音的の教会に出頭すべきことを約束する。
我らは信ずる、聖書は神から言葉を以て人に与えられた唯一の直接の啓示であって、光輝ある来世への唯一の完全無謬の指導者であることを。
我らは信ずる、我らの慈悲深き父、我らの義なる至上の支配者にいまし給い、又我らの最後の審判者にいまし給うべき、唯一なる永遠の神を。
我らは信ずる、真実に悔い、そして神の子イエスを信ずることによって罪の赦しを得る凡ての者は全生涯、聖霊によって恩恵豊かに導かれ、天の父の絶えざる摂理によって守られ、かくて遂に贖われた聖徒の歓喜と希望とにあずかる者とされるべきことを。しかし福音の招きを受けることを拒む凡ての者は、己が罪の中に死し且つ永遠に主の御前からしりぞけられねばならぬことを。
次の誡(いましめ)は、我らの地上の生涯に如何なる変転があっても、常にこれを記憶し、これに従うべきことを約束する。
汝、心を尽し精神を尽し力を尽くし思を尽して、主なる汝の神を愛すべし、又己の如く汝の隣人を愛すべし。
汝、被造物或は被造物の如何なる彫像、如何なる肖像をも拝すべからず。
汝、主なる汝の神の名をみだりに口に挙ぐべからず。
安息日を憶えてこれを聖く守るべし。即ち凡て不必要なる労働を避け、その日を能う限り聖書の研究と自己及び他人の聖き生活への準備とにささぐべし。
汝、汝の両親及び支配者に服従し、彼等を敬うべし。
汝、殺人、姦淫、或は他の不潔窃盗、或いは詐欺を犯すべからず。
汝、隣人に何の悪をもなすべからず。
絶えず祈るべし。
我らは、互いに相援け相励まさんがために、ここに「イエスを信ずる者」の名のもとに一団体を構成する。そして聖書或は其他宗教的書籍新聞を読むため、会議のため、祈禱会のために、我らが生活を共にする間は、毎週一回以上集会に出席すべきことを固く約束する。そして我らは衷心より願う、聖霊明らかに我らの心の中に宿り給うて、我らの愛を励まし、我らの信仰を強め、救いの真理を知るの知識に我らを導き給わんことを。
一八七七年三月五日 札幌にて W・S・C
ここに署名する札幌農学校の職員生徒は、キリストを、その命(めい)にしたがって告白すること、及び十字架の死によって我らの罪のために贖(あがない)をなし給うた貴き救い主に対して、我らの愛と感謝とをあらわすために真の信実を以てキリスト者としての凡ての義務を果たすことを願い、又、主の栄光のため、及び主が代って死に給うた人々の救いのために主の聖国(みくに)を人々の間に前進させることを熱望して、ここに今より後、イエスの忠信なる弟子なるべきこと、及び主の教の文字と精神とに厳格に一致して生きるべきことを、神に対し、又相互に対して、厳粛に契約する。又適当な機会ある場合には、我らは試験、洗礼、入会のために福音的の教会に出頭すべきことを約束する。
我らは信ずる、聖書は神から言葉を以て人に与えられた唯一の直接の啓示であって、光輝ある来世への唯一の完全無謬の指導者であることを。
我らは信ずる、我らの慈悲深き父、我らの義なる至上の支配者にいまし給い、又我らの最後の審判者にいまし給うべき、唯一なる永遠の神を。
我らは信ずる、真実に悔い、そして神の子イエスを信ずることによって罪の赦しを得る凡ての者は全生涯、聖霊によって恩恵豊かに導かれ、天の父の絶えざる摂理によって守られ、かくて遂に贖われた聖徒の歓喜と希望とにあずかる者とされるべきことを。しかし福音の招きを受けることを拒む凡ての者は、己が罪の中に死し且つ永遠に主の御前からしりぞけられねばならぬことを。
次の誡(いましめ)は、我らの地上の生涯に如何なる変転があっても、常にこれを記憶し、これに従うべきことを約束する。
汝、心を尽し精神を尽し力を尽くし思を尽して、主なる汝の神を愛すべし、又己の如く汝の隣人を愛すべし。
汝、被造物或は被造物の如何なる彫像、如何なる肖像をも拝すべからず。
汝、主なる汝の神の名をみだりに口に挙ぐべからず。
安息日を憶えてこれを聖く守るべし。即ち凡て不必要なる労働を避け、その日を能う限り聖書の研究と自己及び他人の聖き生活への準備とにささぐべし。
汝、汝の両親及び支配者に服従し、彼等を敬うべし。
汝、殺人、姦淫、或は他の不潔窃盗、或いは詐欺を犯すべからず。
汝、隣人に何の悪をもなすべからず。
絶えず祈るべし。
我らは、互いに相援け相励まさんがために、ここに「イエスを信ずる者」の名のもとに一団体を構成する。そして聖書或は其他宗教的書籍新聞を読むため、会議のため、祈禱会のために、我らが生活を共にする間は、毎週一回以上集会に出席すべきことを固く約束する。そして我らは衷心より願う、聖霊明らかに我らの心の中に宿り給うて、我らの愛を励まし、我らの信仰を強め、救いの真理を知るの知識に我らを導き給わんことを。
一八七七年三月五日 札幌にて W・S・C
(鈴木俊郎訳・札幌独立キリスト教会補訳『札幌独立キリスト教会百年の歩み』下巻所収)
この契約は、見るとおり前半ではまずキリスト教への信仰、罪のゆるし、信徒としての義務遂行を告白し、いずれは教会において洗礼を受け、これに属することを表明している。次いで聖書の完璧無謬性、創造主・審判者である神への悔い改めと聖霊の導きについて告白している。後半はモーセの十誡に基づく生活の倫理を奨め、最後に団体の組織活動についての指示がなされている。