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六グループの結社団体

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 二十年代に結成された結社団体の数は、単発的なものも数えると約八〇以上にのぼる。それらのなかにはすでに十年代に結成されたものもわずかながらみられないこともないが、多くは二十年代前半に集中している。それら結社団体は、区分は必ずしも明確でなく、ほとんどの結社がどれかに重点をおきながら二つないし三つの性格を合わせ持つ場合も少なくなかったが、あえて目的別に分類するならば、おおよそ以下の六つのグループになるであろう。①学習・自己啓発 ②勧業・勧農 ③社会改良・慈善・衛生 ④政治・社会問題演説会 ⑤趣味・愉楽 ⑥親睦・懇親
 すなわち①は、学んだり、広めたりの学習・自己啓発を目的とし、教育や学習活動を行ったり、あるいは各宗派ごとに演説会や定例会を行うところの宗教活動である。
 ②は、稼いだり、働いたりの勧業・勧農を目的とし、勧業・勧農のための技術改良普及活動を行ったり、移民募集から拓地殖民事業を奨励する活動である。
 ③は、社会を改善してゆく社会改良・慈善・衛生を目的とし、禁酒・矯風の社会改良、貧窮民の救援の慈善活動、さらに当時蔓延をくりかえした伝染病対策や衛生思想の普及のための公衆衛生活動である。
 ④は、政治や社会問題を提起し、警鐘を乱打する役割を担うところの政治・社会問題に関する演説会を目的とし、政談・学術演説や社会問題演説会や討論会活動である。
 ⑤は、共に楽しむ趣味・愉楽を目的とし、音楽会や俳句・詩吟の会を催したり、書画・骨董の鑑賞会を行ったり、あるいは狂言、能、芝居、武徳といった芸能・スポーツに関する活動である。
 ⑥は、人びととの交流による親睦・懇親を目的とし、出身地や出身校を同じくする同郷・同窓会、あるいは現在住んでいる地域を故郷の地とする集団の親睦・交流活動である。
 これらの六つのグループは、その目的・趣旨に従って大きくまとめると、①と②は、社会啓蒙型団体活動(Ⅰ)、③と④は、社会改良型団体活動(Ⅱ)、また⑤と⑥は、各種同好・親睦型団体活動(Ⅲ)の三類型に分類できるのではなかろうか。それらを表に示したのが表8である。以下、三類型のそれぞれの活動内容をみてみることにする。

表-8 明治二十年代 札幌の結社団体活動