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第五回配本にあたって

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[桂 信雄]

札幌市長 桂 信雄
 ここに『新札幌市史』第三巻(通史三)を刊行いたします。
 本巻は、明治三十二年北海道区制が施行され、大正十一年の市制施行までの期間をおもに扱っております。この間に、現在の札幌市域の町村へ北海道一級、二級町村制が施行されて、制限があるとはいえ、永年の念願でありました自治体への仲間入りが実現し、区と町村が一体となって、自立した発達へむけ、汗を流し知恵を出し合い、近代都市へと開花する時代であります。
 札幌市は「北方圏の拠点都市」「新しい時代に対応した生活都市」をめざした「長期総合計画」に基づき、四季の特性を生かし、緑地の保全と活用をはかり、無秩序な市街地の拡大を抑制しつつ、生活環境の充実など潤いのある街づくりをすすめております。これらにつながる理想都市像は、すでに九十年ほど前に先人によって描かれ、これを市民が受け継いできたことを本巻で知ることができるでしょう。
 私は二十世紀の初めに先人が描いた夢を、二十一世紀に向けて継承発展させていくことができることを誇りに思います。
 『新札幌市史』の五冊目となります本巻では、史料として新聞記事を豊富に活用し、行政資料中心の自治体史に見おとしがちな普段着の市民のくらしをいきいきと表現できたように思います。
 それは『新札幌市史』をより親しみやすいものにして、この編纂を通し、新しい「札幌の歴史」が生まれ、市民文化の一層の振興につながることを願ってのことであります。
 最後に、編集に着手してから多くのかたがたにご協力いただいておりますことにお礼を申し上げ、完結へ向けてさらなるご支援をお願い申し上げます。
 
  平成六年三月