当札幌区に於ては青木現区長就任以来、着々区の公共事業の設備に鋭意計画し居られるが、中にも下水と水道の二問題は、区の事業としては喫緊要急の部に属せざる可からず。尤も之れを消極主義の眼孔より観れば、下水と云ひ水道と云ふも左程の施政の急を認めずと謂はんかなれど、普通余り感じ易からざる衛生等問題は姑らく措き、区の繁栄策としては、是非とも此の二大機関の急施を要すべき也。何んとなれば区に下水、水道の設備の有無は、住居する人口の数に大関係なり。コハ常に人の余り気付かざる所なれども、文明国の都市に於て当然現はるべく自然の結果なりとす
(北タイ 明42・12・14)
このように水道と下水道の整備事業は、区の「喫緊要急」の事業という認識が示されている。これはやはり、下水の不備による汚水の停滞での悪臭や、衛生問題の起こることや、あふれた汚水が道路を水田化したり、排水機能が悪いために融雪期や多少の雨水で道路が水田化したり、下水があふれたりしたことからの認識であろう。例えば区民から、南三、四条東四丁目で道路に汚水があふれているのは、下水の設備が不完全だからだ(北タイ 明35・7・20)と指摘されている。そして上下水道の必要性は「文明国の都市」としては「自然の結果」であるとしている。