三十年八月、安部磯雄が来札し、労働問題の解説を行った。三十一年七月、単税論者ガルストが避暑を兼ねて来札し、二十日夜、禁酒俱楽部で労働問題に関する演説をおこなった。ガルストは土地単税法と公平選挙法の論者であった。労働賃金など個人の労力により生じた収入には課税すべきでなく、地主は経済的盗賊のようなものであるから、土地には税金を課すべきであるというのが、ガルストの持論であった。ついで、片山潜が三十二年七月と翌年七月に来札し、労働組合の必要を説き、社会主義について解説を行った。片山の社会主義論は、鉄道や水道の公営論であった。