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三教合同の北海道宗教大会

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 日露戦争中の宗教界の動向で見逃せないのは、神道、仏教、キリスト教の三教合同による北海道宗教大会である。この大会は北海タイムス社の提唱を受け、国家存亡の危機の折りに三教関係者と知識人が一同に会し、聖戦遂行をアピールして道民の精神総動員をはかろうとしたものであった。大会趣意書は日露戦争を「国家の膨張、国運の勃興」ととらえた上で、以下のような大会の意義・目的について述べている(北タイ 明37・7・9)。
国家の膨張、国運の勃興は国民精神の旺盛を根本の要素となす、(中略)国民の精神を鼓吹し、これをして英霊の気に充たしめ、これをして光明の慈悲に浴せしむるは、実に宗教家の本分とする所、今の時は我等身を宗教に委ぬる者、区々たる宗派的小感情を一掃し、協同一致、大に宗教の妙趣を天下に宣布し、国家膨張、国運勃興の根本に培ふべきの時にあらずや、我等が本道宗教家大会を提唱する所以茲に在り

 こうして、大会は三十七年七月十六日に創成尋常小学校を会場として、一〇〇〇人以上が参加して開かれた。大会は、もとより教理・教義が異なる三教が戦争後援のために一時的に会したものであり、後世に与えた影響は少ないが、この種の大会はすでに東京でも試みられており、日露戦争に宗教界が果たした役割を考える上では注目すべきものであったといえる。