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緩慢な重化学工業化

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 札幌市において展開した工業は、どのようなものだったのだろうか。工産品の部門別生産価額を表3にまとめた。各部門の比率をみると、もっとも大きいのは食品で、昭和三年までは五〇パーセントを超えることが多かった。次いで繊維が二〇パーセント前後を占めている。各工業の内訳を昭和十一年についてみてみよう。食品ではビール(四七三万円)、製粉(一七六万円)、菓子類(一二八万円)、煉乳(一〇七万円)、バター、粉乳と続いている。繊維では、亜麻織物及び交織物(一七一万円)、撚糸(一四八万円)、紡績(一四五万円)、ロープ類(一〇〇万円)、メリヤス、被服及び付属品となっている。「その他」部門は、印刷製本(二三〇万円)、製材(二〇八万円)、木製品(一三〇万円)、皮革製品(五三万円)、スキーその他運動具(二四万円)などほとんどが軽工業である。
表-3 工産品部門別生産価額
繊維食品その他軽工業小計機械・金属化学重化学工業小計その他合計
大91,861,872円
6.8%
14,459,051円
52.5%
1,362,130円
4.9%
17,683,053円
64.2%
546,395円
2.0%
480,425円
1.7%
1,026,820円
3.7%
8,828,557円
32.1%
27,538,430円
100.0%
101,914,568
5.5
13,316,726
38.2
1,865,031
5.3
17,096,325
49.0
1,201,416
3.4
364,000
1.0
1,565,416
4.5
16,232,894
46.5
34,894,635
100.0
116,220,515
24.9
14,679,196
58.8
2,550,587
10.2
23,450,298
94.0
970,656
3.9
434,847
1.7
1,405,503
5.6
89,890
0.4
24,945,691
100.0
126,351,829
24.9
14,903,403
58.5
3,042,393
11.9
24,297,625
95.3
581,609
2.3
386,058
1.5
967,667
3.8
221,294
0.9
25,486,586
100.0
137,567,146
26.8
16,311,685
57.8
2,898,525
10.3
26,777,356
94.9
517,861
1.8
478,342
1.7
996,203
3.5
453,606
1.6
28,227,165
100.0
147,455,175
27.6
15,441,005
57.2
2,742,178
10.2
25,638,358
95.1
523,595
1.9
338,649
1.3
862,244
3.2
471,090
1.7
26,971,692
100.0
154,715,324
23.3
11,869,987
58.7
2,631,490
13.0
19,216,801
95.1
232,672
1.2
400,214
2.0
632,886
3.1
364,022
1.8
20,213,709
100.0
昭24,596,000
21.1
12,579,485
57.8
2,874,482
13.2
20,049,967
92.1
584,118
2.7
77,973
0.4
662,091
3.0
1,047,109
4.8
21,759,167
100.0
 34,804,931
21.7
12,075,516
54.5
3,112,156
14.0
19,992,603
90.2
727,141
3.3
459,596
2.1
1,186,737
5.4
985,578
4.4
22,164,918
100.0
 45,094,301
21.3
10,230,032
42.9
5,505,880
23.1
20,830,213
87.3
1,013,051
4.2
1,501,748
6.3
2,514,799
10.5
522,199
2.2
23,867,211
100.0
 54,507,976
19.3
7,887,941
33.8
6,350,356
27.2
18,746,273
80.4
705,508
3.0
1,179,800
5.1
1,885,308
8.1
2,687,362
11.5
23,318,943
100.0
 64,008,654
21.8
6,552,645
35.7
5,073,361
27.6
15,634,660
85.1
643,248
3.5
982,860
5.3
1,626,108
8.9
1,112,894
6.1
18,373,954
100.0
 74,758,284
27.8
6,539,625
38.2
3,861,543
22.6
15,159,452
88.6
574,942
3.4
635,437
3.7
1,210,379
7.1
730,729
4.3
17,100,560
100.0
 84,667,343
23.0
7,883,353
38.8
5,383,928
26.5
17,934,624
88.4
903,612
4.5
941,873
4.6
1,845,485
9.1
514,320
2.5
20,294,429
100.0
 95,615,448
20.8
11,589,098
42.9
6,483,514
24.0
23,688,060
87.7
1,543,492
5.7
1,566,429
5.8
3,109,921
11.5
213,320
0.8
27,011,301
100.0
106,236,790
22.0
11,754,965
41.4
6,141,705
21.6
24,133,460
84.9
1,785,151
6.3
640,430
2.3
2,425,581
8.5
1,850,060
6.5
28,409,101
100.0
116,847,275
22.4
11,816,228
38.6
6,875,119
22.4
25,538,622
83.4
2,168,843
7.1
990,273
3.2
3,159,116
10.3
1,929,094
6.3
30,626,832
100.0
121,633,350
5.5
14,713,918
49.2
6,258,546
20.9
22,605,814
75.5
3,892,219
13.0
900,914
3.0
4,793,133
16.0
2,528,725
8.4
29,927,672
100.0
1.大正15年の機械・金属,昭和2年の化学は原資料の誤植または集計ミスと思われるが,そのまま掲載した。
2.札幌商工会議所『統計年報』,『札幌市統計一班』より作成。

 一方、重化学工業はどうであっただろうか。原資料にある工産品のうち、機械器具及び農具、鋳物、建築金物、活字類、車両を「機械・金属工業」とし、ゴム製品、硝子製品、石炭瓦斯、骸炭、コールタール、酸素、製薬、コンクリート製品、石鹼、カーボン、グリース、インキを「化学」とした。これらを内訳がよくわかる昭和九年の数値により上位から並べると、まず機械器具及び農具(九二万円)、ゴム製品(七一万円)、石炭ガス(三〇万円)、鋳物(二七万円)、建築金物(二六万円)、製薬(二二万円)となる。札幌市においても重化学工業化は進展したが、その工業生産価額に占める比率は、表示期間中最高の昭和十二年でも一六・〇パーセントにとどまった。全国的に重化学工業比率は、昭和六年に三三・〇パーセント、十二年には五四・一パーセントに達している(山崎広明 戦時下の産業構造と独占組織)ので、札幌は重化学工業よりも軽工業が中心であったといえるだろう。
 また、原資料から昭和九年の一工場当たり職工数を算出すると、総平均一八・八人となる。職工数の多い分野は亜麻製品(二工場、三二七人)、ビール清酒味噌醤油(一一工場、二四四人)、ロープ(二工場、一二二・五人)、ゴム製品(五工場、七六・〇人)、乳製品・缶詰(六工場、四一・三人)などがある。また機械器具(三五工場、一八・一人)、スキー(一四工場、一三・五人)、鋳物(一〇工場、一二・六人)、皮革製品(一一工場、九・六人)、裁縫(二五工場、八・〇人)、メリヤス(一三工場、六・五人)、建具・家具(二五工場、六・一人)などは零細規模である。
 職工五人以上使用の工場数は大正一一年に一六九を数え、昭和六年には三二三まで増えたが、七年には二六一に減少した。以後再び増え、十二年には四一七となっている。職工数は、大正十一年の四二九七人が昭和四年に五一七六人となるが、六年に三八九八人まで減った後、十年には五九七四人まで回復した(札幌市統計一班 各年)。一工場当たり職工数は、大正十一年の二五・四人から昭和十年の一九・七人に減っている。