ビューア該当ページ

木製品

578 ~ 579 / 1147ページ
 昭和八年の調査報告書によると「本市ニ於ケル木材工業中其ノ主ナルモノヲ挙グレバ農具、洋家具、建具指物、製材、馬車馬橇荷車、下駄、スキー、樽桶、仏壇仏具、割箸、経木折箱、柾、篩蒸籠(ふるいせいろ)、棒柄、木彫木地挽、箱ノ十六種ニ大別スルヲ得」という(前掲工業調査 其ノ一、以下の記述はこれによる)。これら一六業種の製造戸数合計は三一一戸になる。
 これら一六業種の一戸当たり平均職工数を多い順に並べると、製材二〇・〇人、スキー八・四人、ほかはすべて五人未満であった。また一六業種の一戸当たり平均敷地坪数が調査されている。五〇坪以上のものを列挙すると、製材二三三五坪、スキー九五坪、馬車馬橇荷車八五坪の三業種だけである。反対に一〇坪未満は樽桶九・三坪、仏壇仏具七・一坪、箱五・五坪、篩蒸籠三・二坪となっている。木製品製造業者は工場とよべるのはごく一部であり、大部分は家内工業とみなしてよいだろう。
 製品の市外移出率(昭和五~七年平均)は、農具九一パーセント、スキー七四パーセント、馬車馬橇荷車六六パーセントの三業種が五〇パーセントを超えるが、他は五〇パーセント未満であり、札幌市内需要に依拠して立地していることがわかる。
 材料・用途について洋家具、建具指物製造業を例にみてみよう。まず、「材料ハ殆ト道産材ニシテ其ノ樹種ハ洋家具類ハ楢、桂、栓、タモ等ニシテ近来ベニヤ材又ハ杢突板ヲ使用シ、建具指物等ニハ蝦夷松、椴松ヲ主トシテ用ヒ、箪笥類ハ道産桐材ヲ用ユ。何レモ市内製材業者ヨリ購入セリ」という。調査時期が恐慌期だったために「生産数量ハ年々増加シツゝアルモ……反比例的ニ生産金額逓下ノ奇現象」をみせている。
 建具類は「市内ニ於ケル注文品大部分ヲ占メ」、洋家具類は「総テ市内ニ於ケル販売店ニ売却セラレ……」とされている。また、昭和七年の洋家具、建具指物生産額合計は四一万七〇〇〇円であった。この年の内地から移入した「木製家具類」の市内消費額は一〇万五〇〇〇円であった。生産した洋家具、建具指物の大部分が市内消費だとされているので、札幌市内に供給された家具類の大部分は地元産であったと推測することができる。製材・木製品は、原料から製品まで地元に密着した産業であったのである。