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機械・金属と化学の生産価格

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 機械・金属工業は機械器具、金属研磨鍍金、製缶、製鋼、鋳物、ブリキなどの製造であり、化学工業はゴム製品、製薬、ガラス製品、コンクリート製品などの諸業からなっているが、表56は大正九年から昭和十二年までの札幌市における機械・金属、化学の工産物価額の推移を示したものである。年度により項目、統計のとり方に差異がみられるので、これをもとに単純に年度別の生産額を比較することはできないが、全体的な傾向を知る統計はこれよりないので便宜的に用いることにする。
表-56 機械金属・化学工業工産物価額 (単位;円)
機械金属機械器具及び農具鋳物建築金物活字類車両小計
大 9453,898  92,497 546,395
101,182,356  19,060 1,201,416
11957,316  13,340 970,656
12565,069  16,540 581,609
13493,926  23,935 517,861
14500,420  23,175 523,595
昭 1196,752  35,920 232,672
2554,558  29,560 584,118
3713,061  14,080 727,141
4837,821147,914 27,316 1,013,051
5572,913109,195 23,400 705,508
6571,71658,429 13,050 643,240
7449,498100,450 24,994 574,942
8709,553167,500 26,559 903,612
9920,218271,629259,63534,62957,3891,543,492
101,322,269353,376 28,73680,7701,785,151
111,559,638498,550 26,07584,5802,168,843
122,212,2911,556,660 28,49094,7783,892,219
 
化学ゴム製品硝子製品石炭瓦斯骸炭コールタール酸素製薬コンクリート製品石鹸カーボングリースインキ小計
大 9 480,425          480,425
10 364,000          364,000
11 434,847          434,847
12 386,058          386,058
13 478,342          478,342
14 338,649          338,649
昭 1 400,214          400,214
2 77,973          77,973
3349,582110,014          459,596
4501,051348,533226,30137,7574,2483,477140,859239,522    1,501,748
5375,087160,029246,07933,0753,16927,000159,820175,541    1,179,900
6310,89581,343249,52731,4853,94236,286148,279121,103    982,860
7374,47620,620    137,369102,972    635,437
8497,86547,780    180,785215,443    941,873
9710,27841,834299,69239,6365,35318,000217,879123,28519,190567 58,780 31,935 1,566,429
10174,426339,022     126,982    640,430
11570,374208,499     211,400    990,273
12 285,591    466,314149,009    900,914
札幌商工会議所『統計年報』,『札幌市統計一班』より作成。

 表56によると、機械・金属は大正十年に一二〇万円という最高のピークに達し、翌十一年にも九七万円と高い数値を保っていた。これはアメリカ、イギリスの薄板・地鉄・鋼鉄市場の景気浮揚に連動した好況によるものであるが、その後はしばらく低迷を続けることになる。昭和四年には再び一〇〇万円台に達するが、凶作の影響などによる不況ですぐに下落していくも、九年以降は戦時需要の好景気に見舞われて、急激に増大し十二年には最高の三八九万円となっている。これ以降のデータはないのであるが、さらに上昇していったことが予測される。
 化学は昭和三年まで三〇万、四〇万円台を保持していたが(昭和二年の七万七九七三円は統計ミスと判断される)、四年に化学工業は盛んとなり一挙に一五〇万円と前年の三倍半に急増し、その後は漸減するも九年には再度一五〇万円台に達していた。七年、十年を除き九〇万円以上の数値を示し、ほぼ安定した状況にあったといえる。
 機械・金属は工業の総生産価格において昭和七年までは同四年の四・二パーセントを除き二、三パーセントを占めるにしか過ぎなかったのであるが、八年以降は徐々に割合を高め十二年には一三パーセントを占めるに至り、札幌市の工業において重要な位置を占めるようになってくる。化学は昭和四年まで一、二パーセントに過ぎず、昭和四年に六・三パーセントの最高数値となり、その後もしばし五パーセント台を保つも、十年以降は再び二、三パーセント台に低下していく。
 以上が機械・金属と化学の生産価格をみた場合の推移であるが、機械・金属は大正十、十一年に最初のピークがあり、そして昭和十二年以降に最大のピークが到来していたこと、化学は昭和四年と九年にピークがあったことが確認できる。