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退職する少年少女

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 小学校を卒業し、就職しても短期間で退職する少年少女が際立って多かった。札幌市立職業紹介所少年部が調査した「昭和三年度就職少年勤続退職者業務別調」(札幌市公報 第二六六号)によれば、昭和三年に就職した小学校卒業者三一八人中、八年の時点での在職者六九人(二一・七パーセント)に過ぎず、半数は就職二年目ですでに退職していた。職種別の在職者数を見ると、「事務見習」では二三人中二人(八・七パーセント)、「少年店員」では六六人中六人(九・一パーセント)、「見習工」では六五人中六人(九・二パーセント)というように、きわめて少なかった。そのなかでも在職者数が比較的多いのは「給仕」で、一二一人中五〇人(四一・三パーセント)が勤務を続けていた。これは前述の「給仕」の勤務形態や学習条件と深く関係していると思われる。しかし、全体として見るならば、当時の小学校卒業者の就職達成率を重視していた、「職業指導」のあり方に大きな問題があったと言わざるをえない。
 それに関しては前年の昭和七年に同少年部が集約した「就職少年中退職者事故別調」と題して、大正十五年五月から昭和二年五月までの就職者中の退職者をその理由別に分類した史料が存在する(札幌市公報 第二三二号)。退職理由の大きな傾向を把握する意味で、この史料を提示しておこう。
 同調査によると、七年までの全退職者は二三七人いたが、そのなかで「家事ノ都合」を理由とする退職者が圧倒的に多く、八二人(三四・六パーセント)に達していた。これに「転職」(二九人、一二・二パーセント)、「病気」(二一人、八・九パーセント)、「本人ノ都合」(一八人、七・六パーセント)、「雇主ノ都合(縮少閉鎖)」(一六人、六・八パーセント)、「死亡」(八人、三・四パーセント)などのケースが続いていた。しかし、この数値は「主ニ雇主側」の調査結果であるだけに、「雇主側」の責任に繫がるようなケースは、「家事ノ都合」や「其他」(三四人、一四・三パーセント)などのなかに隠蔽されている可能性も多分にあり、必ずしもその実態を正確に反映しているとは言えない。