札幌市を含む大都市の自治体警察は、財政的にも、治安維持の点からも安定に向かっていたので、この自治体警察廃止の流れに反対した。二十八年二月、全道市議長会の緊急総会では自治体警察と国家地方警察の一本化をめざす警察法改正案に反対する決議がなされた。札幌市議会でも二月十五日の治安委員会において反対決議がなされ、ついで三月十日の本会議では自治体警察廃止反対が全会一致で決議された。その後、若干の手直しを加えて都道府県単位の警察とする案の再提出を政府が図ると、反対運動は再燃し、札幌市議会でも十月三十日、再び反対決議をおこなった。その決議案の説明に立った田井治安委員長は、次のように述べている。
政府は依然として国家権力を動員して地方自治体を中心とする全国的な民主世論を無視し、あるいは抑圧して、あくまでも地方自治体の固有に属する警察権をはく奪せんとする改正の意図を変更することなく、単に大都市単位の自治体警察を設けるという欺瞞的姑息の手段をもった追加項目を挿入したのみでその実現を図らんとする暴挙を敢行しようとしているのであります。
よって再び地方自治擁護のため、ここに本市議会の総意と熱意をもって政府関係機関に反省を求め、いっさいの反民主的制度全般に亘る改革案に反対し、これが撤回を強く要請するため提出したものであります。
よって再び地方自治擁護のため、ここに本市議会の総意と熱意をもって政府関係機関に反省を求め、いっさいの反民主的制度全般に亘る改革案に反対し、これが撤回を強く要請するため提出したものであります。
さらに二十九年一月十八日に三回目の反対決議がなされたものの、政府はこうした反対運動に耳を傾けず、都道府県警察に一本化する新警察法に固執し、強行採決によって、六月八日に成立させた。七月一日からの実施を前に、市では市警廃止にともなう関係条例の整理に関する条例を六月二十五日と九月二十四日の定例市議会に提出、可決された。ただ一つ、道警察本部側の求めにより、公安条例のみが存続となり、現在も生きている。