『札幌市臨時振興専門委員会答申』によると、二十二年(一九四七)頃には『応急五箇年計画案』がつくられていた。それによると鉄筋コンクリート土管を用いた暗渠式とし、平時は河川から常に水を流し洗浄する。また各戸から排出する生活排水と雨水を桝に集め鉄筋コンクリート製の側溝から下水道に流すというものであった。五年間で市中に五八キロメートル余の下水道を二億七二九五万円で施行するものであった。
弘報『さっぽろ』第一号(昭25・1・1)に掲載された「排水工事の状況」では、側溝は「施設以来永らく放置の状態であったので破損個所が多く汚水の停滞状態の個所が随所にみられる」状態であるとし、「昨年度からこの改修を実施してきた」とする。そして二十五年度には「破損の程度および緊急性を勘案して中心部から次第に周辺におよぼし」ていく予定とする。さらに側溝を新設することについては、「久しく実施中絶の状態であったが」という現状を示し、「近時の著しい発展と共に新設の必要に迫られた」という必要性を強調し、受益者負担を受けて着工するとする。さらに素堀側溝の新設改修については、「戦時中から全く放置の状態で汚水の停滞甚だしく衛生上放置できない」状態であるとして、二十四年八月上旬から苗穂工機部裏の新設、東四丁目の改修を行い、二十五年度には西一九丁目の一部新設などを行う予定としている。この二カ年の事業が『応急五箇年計画案』によるものであろうか。
二十五年度からは新規事業五年計画のなかで下水道新設(九五〇〇メートル)、側溝改修工事(二万五〇〇〇メートル)、側溝新設(三三〇〇メートル)、伏籠川改修事業が計画されていた。
しかし下水道および側溝計画事業は、昭和二十八年新規事業五年計画から独立して、それぞれ下水道の新設一〇年計画、側溝の新設および改修一〇年計画がたてられた。
各年の予算表をみると、二十四年度には北一二条他六線側溝新設工事、山鼻他七地区側溝新設が行われ、この年以降、素堀側溝新設・改良(昭24、25、27)、側溝新設・改修(昭24~)、下水道調査・新設(昭25~)、伏籠川改修(昭27)などの事業が行われている。そして二十八年度からは一〇カ年計画をたてて、総工費七億三八二六万円余で下水道新設(六四・七二キロメートル)、側溝の新設(九・八八キロメートル)、改修(二〇キロメートル)することになった。この計画で、「水浸し地区一掃」として粘土層や泥炭層のために水はけの悪い円山、幌北、北光地区を優先的に整備するという方針を示した(道新 昭28・3・19)。