ビューア該当ページ

北洋無尽の発展と預金業務開始

279 ~ 280 / 1021ページ
 北洋無尽株式会社は十九年三月十五日、金融機関統合の国策に基づき、札幌の日之出無尽、北日本無尽、北見の東和無尽、函館の拓殖無尽の四社が小樽の小樽無尽に吸収合併される形で創設されたが、戦後も引き続き重要な中小企業金融機関として機能した。
 北洋無尽の「金融機関再建整備法」による最終処理の確定損は約五四四三万円となり、これから確定益約三二万円を差し引き、その残額を旧勘定積立金約五一万円、資本金約一九〇万円、法人預金等その他整理債務約二三五万円等で充当し、不足分約四八三五万円は政府補償金によって補塡した。こうして新旧勘定を一本化し、二十三年四月一日からは新資本金を五〇〇万円として再発足した。翌年には増資して、二十四年九月一日、資本金は一億五〇〇〇万円となった。
 従来、無尽には正式に預金業務が認められていなかったが、戦後インフレーションに遭遇して急遽二十年十月二日「軍需金融特別措置法施行令」の改正がなされ、無尽会社の預金業務が認められることになり、同年十二月一日から普通預金・定期預金業務が開始された。北洋無尽も預金業務を開始し、二十一年三月末の約五九二万円を出発点に二十五年九月末には約六億三一七一万円へと増加し、資金量(掛け金、預金)に占める割合も二・五パーセントから一二・二パーセントへと拡大し、その後ますますその重要性を増していった(北洋相互銀行 五十年史)。
 再建整備後の主要勘定を示したのが表11である。資金量、融資量(給付金、貸付金)ともに順調に伸び、相互銀行に転換する直前の二十六年九月末には、全国の無尽会社中、資金量において第二位、契約高において第三位を占めるまでになっていた。ちなみに資金量の全国上位一〇社を示せば、表12のとおりである。
表-11 北洋無尽主要勘定 
年月資金量(百万円)融資量(百万円)預貸率
(B/A%)
(融資率)
掛け金預金計(A)給付金貸付金計(B)
昭23.363718281926237864078.1
 24.32,2044182,6227701,5532,32388.6
 25.34,1156774,7921,4153,0094,42492.3
 26.35,5711,3156,8862,0534,5506,60395.9
 27.96,4582,0278,4852,2725,4747,74691.3
北洋相互銀行50年史』208頁より作成。

表-12 資金量・全国上位10無尽会社
昭和26年9月末現在(単位:百万円)
順位会社名無尽掛け金預金
1日本9,9707,22517,195
2北洋6,3472,0278,374
3西日本5,3362,9128,248
4兵庫3,4457274,172
5近畿2,1977602,957
6東京殖産2,818422,860
7福徳殖産2,679492,728
8常磐2,1774832,660
9鹿児島1,4009182,318
10福岡1,9393542,293
北洋相互銀行50年史』209頁より。
大蔵省銀行局調。