『札幌市統計書』、各市町村勢要覧、各郷土史などを用いて、地区別農家戸数、自小作別農家戸数、経営耕地面積、作目別作付面積(地区別)、家畜飼養頭羽数の推移を示す表を作ってみたが、余りにも不明な部分が多かったので表出することは避けた。ここでは二つの事実を指摘するにとどめたい。
まず、自小作別農家戸数の推移について、各種資料から収拾した数値によれば、昭和二十一年に自作農家の占める割合は三四・六パーセントにすぎなかった(旧市内のみ)。それが二十五年には六五・九パーセントになり(旧市内と白石地区の分)、さらに三十年には八四・六パーセントに達した(旧市内と白石・北札幌・篠路・琴似地区の分)。これらの変化が農地改革の成果そのものであったことはいうまでもない。
次に、作目別作付面積の推移について、肥飼料作物の占める割合が大きい地区があることを除けば(その理由について、五章八節を参照)、やはり主食(米)と主食代替作物(麦類・豆類・雑穀・馬鈴薯)の占める割合が大きかったこと、およびこうした状況は昭和二十七年になっても大きく変化していなかったことがわかる。