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ビールの寡占的競争

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 日本麦酒(株)は、サッポロブランドを復活させた勢いで三十九年に社名をサッポロビール(株)へと変更した。北海道では伝統的にサッポロビールが消費者に好まれていた。表6は、北海道における各社ビールの販売高とシェアを示している。この期間、圧倒的なシェアを誇っていたサッポロビールが、年々そのシェアを低下させていることがわかる。一方、サッポロに次ぐアサヒは、四十五年までシェアを伸ばし、以後低下に向かう。キリンは、小さいながらも一貫してシェアを伸ばし続けている。全国的なキリンの一人勝ちとサッポロ、アサヒの苦戦が北海道にも及んできているといえる。三十九年四月には朝日麦酒の社長が来札し、北海道工場設立を表明し(道新 昭39・5・18)、朝日麦酒と北海道酒類販売(北酒販)が設立した北海道朝日麦酒(株)札幌工場(現白石区南郷通4南)が四十一年三月ビール製造を開始した(道新 昭42・6・1)。表6のアサヒのシェア上昇は四十一年からは札幌工場製品によるものである。迎えるサッポロビールは、札幌工場製麦場(北7東9)敷地内に第二工場を建設し(昭41・5竣工)、最新鋭のびん詰め機など新鋭機械を誇っていた。なお、このときにレンガ造りの旧製麦場を開拓使麦酒記念館(ビール史料館)とし、サッポロビール園を併設させている(サッポロビール120年史)。
表-6 北海道におけるビール各社のシェア単位:函(20本)
サッポロアサヒキリン合計
昭407,347,770
85.4%
948,121
11.0%
308,866
3.6%
8,604,757
100.0%
 417,482,487
81.7%
1,278,923
14.0%
393,182
4.3%
9,154,592
100.0%
 427,988,443
79.5%
1,579,169
15.7%
482,093
4.8%
10,049,705
100.0%
 438,129,983
78.5%
1,656,304
16.0%
551,108
5.3%
10,353,192
100.0%
 448,243,412
77.4%
1,796,660
16.9%
608,052
5.7%
10,648,124
100.0%
 458,672,855
75.6%
2,088,872
18.2%
714,756
6.2%
11,476,483
100.0%
 468,348,626
75.1%
1,976,962
17.8%
791,268
7.1%
11,116,855
100.0%
 479,163,428
74.4%
2,063,744
16.8%
1,084,676
8.8%
12,311,848
100.0%
サッポロビール総合企画部『ビールを中心とする各種酒類消費の概況』昭和48年,サッポロビール博物館所蔵
合計は,40,41年は3社合計。42年以降はサントリーも含む4社合計。