観光施設の整備が進み、観光客の誘致に成功する一方で、観光地が荒らされる被害も目立つようになった。月寒種羊場の名で親しまれた農林省北海道農業試験場畜産部は、国道三六号線札幌―千歳間の舗装工事の完成により(昭28・11)、見学者は増え、試験栽培の牧草や農作物の発育に障害が出始めた。これに対して当局側は自動車の乗り入れ禁止(道新 昭29・7・24)、観光客の立入り禁止の策を講じたが(道新 昭30・7・4)、道博の期間も閉ざされたままという強硬策に、道観連・札観協・北海道バス協会等が陳情にあたり、三十四年六月、ようやく裏口からのバス・タクシーの通行と、展望台に柵を設けるという条件付きで、開放されることになった(道新 昭34・5・17)。
また、北大構内のポプラ並木周辺でも草花が痛めつけられ、研究材料が犠牲になるなどの被害がみられた。このため北大では、牧草地への車の乗入れ禁止(道新 昭30・7・4)、観光バスの乗入れ禁止(昭34)、関係者以外の自動車の締出しと(道新 昭37・9・19)、次第に規制を強めた(タイムス 昭39・5・13)。さらに北大附属植物園では、観光客による芝生や植物の被害のほかに(道新 昭38・6・23)、ばい煙や自動車の排気ガスによる影響や、ビルラッシュが原因で地下水が下がり、園内の池が枯れるなどの被害もみられた(読売 昭40・8・17)。