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農業センターと農林会館

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 昭和三十年代中頃には、本市の農業の発展方向が、増大する消費需要に対応した作目を選択して、狭隘化する農地を高度に利用し、収益性の高い都市農業を確立することにある事が明確になっていた。札幌市農業センターは、こうした方向に即して本市農業の振興を図るにあたり、国や道の農業試験場、あるいは大学などの試験研究機関と農家の中間に位置し、これらの機関の試験研究の成果をとり入れつつ、実際に農作物の栽培や家畜の飼養を行い、その中で、技術の適応性や経済性(採算が合うか否か)を検討するために試験研究を重ね、その成果を農家に指導、普及することにより、農業経営改善の指針を打ち出すことを目的としていた。指導展示施設、実験施設、共同利用施設および青年研修施設をそなえた、「消費者と結びついた都市近郊農業の総合的な指導機関」(タイムス 昭和39・1・6)とも称された。
 農業センターの建設に費やされた総事業費は約一億円であり、三十九年四月に着工し、四十一年十一月に竣工した。表57は、その時点における土地利用状況と施設の概要を示したものであるが、ここで改めて農業センターの業務の要点をいえば、①試験研究の対象となった作目は蔬菜、花き、果樹、養鶏であった、②これらの作目を技術・経済両面から試験研究を積み重ねて、その成果を農家の経営改善の指針とした、③試験研究の成果を農家に指導、普及するやり方は、研修施設を用いて中・短期の研修を行うというものであったが、この他に農業後継者を育成するための長期研修の制度もあった、④蔬菜・花き・果樹の優良苗の育成と配布も行われた(事務概況、市勢要覧、札幌市の農業を参照)。
表-57 農業センターの概要(単位:ha)
土地利用状況施設の概要(昭39~41年度建設分)
野菜畑  2.0研修所(木造モルタル2階建)1棟
花き畑  1.0作業所兼農具庫(木造中2階建)1棟
果樹畑  4.8資材庫(木造平屋)1棟
建物敷地 1.1温 室(鉄骨ガラス張り)2棟
道路敷地 1.2 〃 (木造ガラス張り)1棟
緑地   0.4ビニールハウス(鉄骨固定式)6棟
山林   0.7   〃   (アーチ型移動式)1棟
その他  0.4職員住宅(木造モルタル)5棟
  計  11.6
『札幌市の農業』(昭43)による。

 札幌市農林会館は、昭和四十三年十月の農協の大型合併(後述)を機に、合併農協の本所、その他関係団体、指導機関を包括し、相互の有機的連携の下に農業振興を図るべき拠点として、札幌市が建設することになった。この建設に費やされた総事業費は二億一五〇〇万円であり、四十三年九月に着工し、翌四十四年九月に竣工した(昭44事務)。
 さらに、札幌市農業振興共進会のその後について一言すれば、以下に四十一年に行われた共進会を例示するが、そこにみられる如く、各種の品評会や共励会がきめ細かく開催されるようになるなど内容の充実が図られた(昭41事務)。
野菜展示品評会(八月)
野菜圃場管理共励会(七~十月)
花き展示品評会(八月)
畜産経営改善共励会(七~十一月)
酪農飼養管理共励会(十一月)
養豚飼養管理共励会(八~九月)
養鶏飼養管理共励会(七~十一月)
飼料作物多収穫共励会(六~十月)