ビューア該当ページ

母子福祉

699 ~ 702 / 1021ページ
 母子家庭の母は、幼少の子女を養育しながら一家の生計を維持するという二重の負担を背負っていた。そのための援護施策として、前述したように二十八年四月、「母子福祉資金の貸付等に関する法律」が施行され、札幌市でも同年九月より母子福祉資金制度母子相談員制度がスタートした。スタート当初の二十八年の母子相談件数は、わずか二四三件に過ぎなかったが、三十五年には三〇〇〇件を突破、四十年には、母子福祉資金の貸付等も含めて五七三一件、貸付決定金額総計九四九万六五〇〇円にも達した(社会福祉事業の概要 昭41)。参考までに四十四年の母子福祉相談件数を図3で示したが、貸付資金を含めた生活援護が六六・三パーセントと、半分以上をしめていることがまず注目される。これより先の三十九年七月、母子家庭の人びとが長年にわたり要望してきた、生活安定と向上を目的とした「母子福祉法」が制定された。これにより母子相談員が母子家庭の経済上の問題、児童の就学・就職の問題、そのほか生活全般の相談に応じ、その自立に必要な指導にあたることが強化された。

図-3 母子福祉相談件数(昭和44年)
『社会福祉事業の概要』(昭45 札幌市)より。