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PTAの設置と活動

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 小・中学校の新築や増改築への動き、さらに学校の設備改善に対して大きな力を与えたのがPTAである。PTAは、対日米国教育使節団報告書にその結成の勧告が示された父母と教師が提携して児童・生徒の福利厚生にあたる団体である。CIE教育課は昭和二十一年五月に、PTAに関する資料提供と勧奨を行い、各地方でも軍政部が積極的にその設置を支援した。北海道においても軍政部民間情報教育課のマクダガードを中心に、道庁に対して設置の勧奨と助言が与えられ、道庁より二十二年四月一日に「『父母と先生の会』設置について」の通牒が発せられた。その通牒では、「本道には従来学校経営のため後援団体としての父兄会があったが、これをさらに発展させて父兄と教職員との会をつくり」とあり、これまでの父兄会の持っていた後援会的な性格を払拭しようとした。七月十六日に北海道社会教育大会マクダガードは「父母と先生の会について」という講演をし、その中で次のように述べている。
特に教育基金の募集のようなことについては、新しく組織されたP・T・Aは、特に慎重でなければならない。なぜなら、旧来の会、保護者会をそのまま焼き直しただけですませようとする傾向が日本に多いからである。
(教育建設 第一七号)

 マクダガードは戦前日本の状況にまで言及して、資金調達機関としてのPTAを批判している。しかし現実の日本の状況はこのような理想的な理念を許す状況ではなかった。表3は当時の手稲村の軽川小学校・中学校のPTAの会報から、その活動状況をまとめたものである。これによれば「視察・旅行補助」といった教員に対する援助、「オルガン購入」といった学校設備の提供といった資金援助の活動が多いことがわかる。当時、行政側の教育資金は不足し、資金の多くは地域市民の肩にかかっていた。会報には、「各地区からのガラス購入の為の特別寄付」「〇〇氏より御令息の追善供養の為金五〇〇円の寄付」といった「特別寄付」という欄もある(育成会報 第六号 昭24・3・20)。PTA会費の他にも地域住民は、多くの資金を提供し、また運動場整備といった労働提供を行っていたのである。
表-3 軽川小・中学校育成会の活動(昭23年7月~10月)
小学校中学校
総務部学校給食指導者講習会出席補助(7.14)
学校体育指導者講習会出席補助(7.24~30)
育成会委員会(7.26)
P・T・A連合会臨時大会出席(8.29)
四年生○○君死亡につき弔意を表す(8.8)
 
 
同左
同左
 
文化部
 
全校職員道内視察旅行補助
参考用図書若干購入
オルガン購入(9.20)
 
厚生部
 
体育会後援(10.3)
 
バレーボール用ネット購入
村内管内競技会後援
自治育成部分団別対抗男野球・ドッチボール大会(8.1)村内管内競技会後援
編集部育成会報第五号発行(10.3)
「軽川小学校・中学校 育成会報」第5号(昭23.10.1)より作成。