四十二年四月に三選された原田市長は、政令指定都市への移行が現実的な日程に上り、四十七年の冬季オリンピックの開催も決定すると、庁舎建設問題の解決に乗り出すこととなった。市理事者は、十一月十三日、市議会総務委員会に「区制施行及び庁舎新築に関する基本構想」を提示した。「基本構想」は、①新庁舎の位置は北一条西二丁目とする、②交通の便利、官公署との連絡の便利、もと本庁舎の所在地、地域暖房の利用可、将来の高速軌道(地下鉄)の利用至便、適当な地積、を理由とする、③庁舎面積は三万九〇〇〇平方メートル(一万一八二〇坪)、④地下二階地上一二階の鉄骨鉄筋コンクリート、⑤完成時期は昭和四十六年度、⑥費用は新庁舎建設費約三四億円、仮庁舎整備費四五〇〇万円、といったものである。
これをもとに市は、十二月市議会第四回定例会に「札幌市役所の位置を変更する条例案」を提案した。市議会は十五日に「庁舎の位置に関する議案審査特別委員会」を設置し、翌四十三年一月三十日、自民、社会、新政クラブ、公明の賛成多数によって市の北一条西二丁目案を可決し、二月五日の市議会第一回臨時会で条例案は成立した(以上、十二期小史)。
新市庁舎建設工事は四十四年五月十二日に着手され(道新 昭44・6・10夕)、四十六年十一月十五日に落成式をあげた(道新 昭46・11・15夕)。新市庁舎は地下二階地上一九階、塔屋二階、高さ八五メートル、延べ面積四万二二〇〇平方メートルの鉄骨鉄筋コンクリート造りの高層ビルであった。各部局の窓口が一~三階に集約され、地下食堂から三階まではエスカレーターで結ばれた。総工費は約四一億円であった(道新 昭46・11・15)。
写真-2 新市庁舎