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都市行政から都市経営へ

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 平成十年十月五日、札幌市行政改革懇話会を改組した札幌市都市経営フォーラムが発足した。五名の公募委員を含む一二名の委員からなり、行政システム、パートナーシップ、自治基本条例、行財政改革、区・連絡所の五つのワーキングを設置して、行財政改革の推進、地方分権への対応など新たな行政の仕組みづくりについて検討した。同フォーラムは、十二年一月二十五日に中間報告を、同年十月二十四日には最終報告書『新たな時代における都市経営の仕組みづくり』を市長に提出した。
 報告書は、これまでの「札幌市役所」による行政の運営から、市民と行政のパートナーシップのもとで「札幌市民の政府」(ローカルガバメント)として都市を経営していくという方向へ基本理念の転換を図ることを提言するとともに、自治基本条例の制定、PFI(民間の資金やノウハウの活用によって公共施設等の設計、建設、維持管理、運営等を行う事業手法)などの民間活力の活用などによる行財政改革の一層の推進、市長の経営者としてのリーダーシップの発揮、区役所・連絡所の機能評価を求めるものであった。
 これを受けて、十四年五月、市は『協働都市を目指して―札幌市都市経営基本方針―』、『札幌市行政経営戦略―「変革型市役所」を目指して―』を発表した。「札幌市都市経営基本方針」は、札幌市の都市経営の目標を「都市の構成員みんなが公共を担い合う協働型社会を実現する」こととし、そのために協働を担う人材が育つ環境の整備や協働型社会について考える場づくりの取り組みを展開するとともに、民間の経営手法に学んだ「顧客志向」と「成果主義」の行政経営の導入、情報公開の徹底と市民参加型行政の推進、部局・区への権限と責任の委譲と行政内部の意志決定のスピードアップなどによる行政経営改革を行うとうたった。この方針をより具体化しようとしたものが「札幌市行政経営戦略」であり、人、組織、行政システムの三つの改革戦略を提起している。