ビューア該当ページ

市街地再開発

171 ~ 172 / 1053ページ
 札幌市の市街地再開発事業は、市街地改造法に基づく札幌駅前通の拡幅(昭38~45)、防災建築街区造成法に基づくすすきの・狸小路などの防災建築街区造成事業(昭36~50)があった。しかし札幌の激しい人口増による発展・膨張は、過密、用途混在、生活環境の悪化などの問題や都市構造の変化から取り残されて人口の減少や地区機能が停滞し、老朽化しつつある地区が出てくるという都市問題を発生させた。都市の再開発は、既成市街地での都市問題に対処し、都市構造の再編、良好な居住環境、市街地環境の形成、都市の防災構造化、良好な市街地住宅の供給、公共施設の整備の推進などにより解決させるものと位置づけられている(札幌市企画調整局開発部 札幌の都市再開発 昭57・3)。
 札幌市では昭和四十六年(一九七一)から、都心から二~四キロメートルの環状通内において、生活環境、都市機能、都市防災について現況を調査検討し、再開発などの対策を必要とする地区を一八地区選定した(概要 昭50)。一方民間組合施行の候補地として四十七年には二条市場周辺地区、四十八年には地下鉄琴似駅周辺地区を取り上げ、基本計画を作成し、その費用の補助制度を定めた。さらに五十五年には街づくり促進助成制度を設け、住民が積極的に街づくりを進めようという団体に、啓発普及や調査研究などの経費の一部を補助するようにした(概要 昭58)。
 都市再開発法にもとづく事業は、北海道庁西地区市街地再開発事業(昭51~53)、五十五年に都市計画決定し、五十七年に完成した一条橋周辺二・六地区市街地再開発事業、その他北四西五南地区再開発事業(個人施行)、豊平三・三地区市街地再開発事業(組合施行)などがある(概要 昭58)。

写真-3 豊平橋南地区の再開発事業で出来たホテル

 五十年代になると既成市街地の再整備が量的にも拡大し、さらに公共施設整備主導から住環境設備中心へと重点が変化し、さらにこれまで以上に住民の意向を十分取り入れることなど、再開発に関する諸制度を統合・体系化して総合的な再開発に取り組む必要性が生まれた。そのため地区整備基本計画策定のなかで、再開発事業を踏まえた計画を策定するようになった。それらの事例として国鉄札幌駅周辺地区、豊平川右岸地区と左岸地区などがある(概要 昭54、58)。